Vim足りてウガンダを知る
:help uganda
はじめに
世界にはたくさんのテキストエディタがあります。
秀丸、サクラエディタ、Emacs、Vim、nano、皆それぞれお好みのものがあるでしょう。
あまり掘り下げると宗教戦争が起きるのでこのくらいにおきますが、私はVimをずっと使っています。
さて、そんなVimの起動時に、こんなメッセージを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
Help poor children in Uganda!
ウガンダの恵まれない子どもたちを助けよう、というメッセージです。
なぜウガンダ?と思うかもしれません。私も最初に見たとき疑問に思って調べたことがあります。
Vimについて
Vimの話をする前に、まずはその元になった vi について少し触れておきます。
vi は1970年代にUnix向けに作られたテキストエディタです。
開発したのは、のちに Sun Microsystems の共同創業者となる Bill Joy です。
当時のUnixでは、現在のように画面全体を使ってテキストを編集することは当たり前ではなく、exのような行単位で操作するエディタが使われていました。
そんななか、vi は画面上にファイルの内容を表示しながら編集できるエディタとして使われるようになります。
vi と ex はもともとは同じプログラムのインターフェースでした。
exが行指向の編集画面なのに対し、vi は名前の通り Visual modeとして、画面全体で編集するものです。そして、このviをベースに作られたのがVimです。
Vimを開発したのは、オランダのソフトウェア開発者Bram Moolenaar氏です。
初期のVimは、vi 互換エディタの Stevie をベースとして開発 され、名前の由来も Vi IMitation の意味でした。
その後も機能が追加されてゆき、名前の意味も Vi IMproved へと移ろい、現在のVimにつながります。
ウガンダについて
Vimを30年以上にわたって開発してきたBram Moolenaar氏には、並行して長年続けていた活動があります。
それが、タイトルにもあるウガンダの子どもたちへの支援です。
ウガンダ共和国 は東アフリカの内陸国で、国土面積は日本の本州とほぼ同じだそうです。
昔に比べれば経済状況は回復傾向にあるものの、ウガンダ統計局によると人口の53.1%が多次元的貧困に該当するとのこと。
また、5,000万人いる人口の約半分が18歳未満という、非常に若い人口構成の国でもあります。
©OpenStreetMap contributors
Bram Moolenaar氏は、1994年夏から1995年夏までの約1年間、ウガンダ南部のKibaale Children's Centreでボランティアとして活動していました。
現地ではセンターの拡張、水・衛生分野の仕事に携わっていたそうです。
こうした支援は彼がオランダへ帰国したあとも続き、やがて資金集めや子どものスポンサー制度に関わるようになりました。
この考えはVimにも反映されており、このソフトウェアは自由に使ったりコピーしたりできるが、
もしVimを気に入ったならウガンダの子どもたちへの寄付を検討してほしい、という Charityware の形態を取っています。
このあたりの話は、Vimで :help uganda を入力すると全文を確認することができます。
ただし、これには当時のウガンダの状況を示した記述も含まれているので、必ずしも現在のウガンダの状況を表すものではない、ということは認識しておく必要があります。
寄付について
Vim起動時に出てくるウガンダへの寄付を行う手順 が非常に参考になります。
当時この記事を見つけた私は、なるほどなぁと思いながら真似して寄付した覚えがあります。
が、これは2015年の記事であり現在は少し状況が変わっています。
当時の寄付先は ICCF Holland という団体でしたが、現在、この団体はもう存在しません。
Bram Moolenaar氏は2023年に亡くなりました。その後、彼が関わっていたICCF Hollandは活動を継続する方法を検討したものの、
長期的な維持は難しいとして、姉妹団体だったカナダの Kuwasha International Development Society に活動を移管し、2025年末をもって解散しています。
そのため、現在はKuwashaを通じて寄付できます。Paypalでポチっと払えてかんたん。
「寄付は全額ウガンダ国内で活用され、学用品、制服、毎日の食事、医療費など、学生の教育費に充てられる」とのこと。
Webサイトをみて、理念に共感した方は寄付してもよいでしょう。
金額の多寡を気にする必要はないと思っています。
個人でどうこうというのが難しいからこうした活動があるわけですし。
おわりに
個人的な考えですが、何かの恩恵を受けたからといって、必ずそこに恩返しなければならないとは思っていません。
Vimの説明としてもそういったことを求めてはいないですしね。
学生の頃は、とにかく無料で使えるソフトウェアをありがたく使っていました。
ただ、そうしたソフトウェアも当然、勝手に生えてきたわけではありません。
誰かが作って、誰かがメンテナンスして、誰かがドキュメントを書いてきたものです。
私もソフトウェア開発者のはしくれなので、すこしはその苦悩がわかるつもりです。
自分は巨人の肩に立っているのだということを忘れずに、顔も知らない彼らに対して、可能な限りは真摯でありたいと日々思っています。
おしまい